みなさんこんにちは!
連載としてFP(ファイナンシャルプランナー)の資格試験に対応する内容を解説していきたいと思います。
FP試験の内容は日常生活にも深く関わってくる内容が多いので、資格取得を予定していない方でもQOLアップにつながる内容が多いと思いますのでぜひ参考にしてください!
私が独学でFP2級に1ヶ月で合格した経験をもとに、同じように独学でがんばっている方など少しでも多くの方の受験の手助けになれたら嬉しいです!
※試験範囲は変更・追加となる場合がありますので、常に最新情報のチェックをお願いします。
今回は所得控除の種類についてです。
所得控除の種類とは
これまで、各種所得ごとに特別控除というのが場合によってありましたが、それとは別に、これまでの各種所得を合計したあとの金額である全体の所得額、つまり課税標準から引かれる控除を確認します。
所得控除には、大きく分けて「物的控除」と「人的控除」との2種類があります。
物的控除とは
まずは物的控除について確認しましょう。
物的控除には7種類あります。
雑損控除
雑損控除は、災害、盗難、横領により、本人または一定の配偶者や親族が所有する資産が損失を受けた場合に適用されます。ポイントとしては、以下の点です
- 対象者:本人または一定の配偶者、親族(同一生計であることが条件)
- 対象資産:自己所有、または同一生計内の配偶者・親族の資産
- 例外:詐欺や脅迫などを原因とする損失は対象外
雑損控除の計算
雑損控除の金額は以下の計算式で求められます
(損害金額+災害関連支出−保険金額)−総所得金額×10%
または
(災害関連支出−保険金額)−50,000円
いずれか大きい金額が控除額となります。
ただし、生活に通常必要とされない資産(例:別荘、一個の価格が30万円以上の貴金属など)は対象外です。
次に医療費控除について見ていきます。
医療費控除
医療費控除は、本人または同一生計の配偶者、親族が支払った医療費や薬品代が対象となります。
ポイントは以下の通りです
- 対象者:本人または同一生計の配偶者、親族
- 控除額の計算
- 総所得金額が200万円以上の場合:医療費の合計額から保険金等を差し引いた額から10万円を引いた金額が控除額になります。
(医療費の合計額-保険等の補填額)-10万円=控除額 - 総所得金額が200万円未満の場合:医療費の合計額から保険金等を差し引いた額から総所得金額の5%を引いた金額が控除額となります。
(医療費の合計額-保険等の補填額)-総所得金額等×5%=控除額
- 総所得金額が200万円以上の場合:医療費の合計額から保険金等を差し引いた額から10万円を引いた金額が控除額になります。
医療費控除の限度額は200万円です。また、医療費控除は治療を受けた日ではなく、支払った日が属する年の所得から控除します。
対象外となる医療費として、健康診断、人間ドック、美容整形、予防医療のための費用などは控除の対象とならないため、対象外になるものをしっかり覚えておきましょう。
医療費控除は試験でもよく問われる論点ですので、しっかりと理解しておきましょう。
次に社会保険料控除について見ていきます。
社会保険料控除
社会保険料控除は、本人や同一生計の配偶者、親族のために支払った社会保険料が対象となります。
社会保険料には、健康保険料や厚生年金保険料や雇用保険料等があります。
これらの保険料は支払った金額全額が控除対象となります。
「社会保険料の支払額=社会保険料控除額」
小規模企業共済等掛金控除
個人型確定拠出年金の掛金や小規模企業共済掛金など、特定の掛金を支払った場合、その全額が控除の対象となります。
先ほどの社会保険料と同じく全額控除です。
「小規模企業共済等掛金の支払額=小規模企業共済等掛金控除」
生命保険料控除
生命保険料控除についてはまた保険の範囲のところで詳しく解説しますので、ここではざっとポイントだけ押さえていきましょう。
生命保険料控除には以下の2つの区分があります
- 平成23年12月31日以前に締結した契約:一般の生命保険料と個人年金保険料の2区分で控除されます。それぞれの区分ごとに上限があり、所得税の限度額は、5万円×2=10万円、住民税の限度額は、35,000円×2=7万円です。
- 平成24年1月1日以降に締結した契約:一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3区分で控除されます。それぞれの区分ごとに上限があり、所得税の限度額は、4万円×3=12万円、住民税の限度額は、それぞれ28,000円ですが、×3=84,000円ではなく、合計上限7万円となりますので注意が必要です。
地震保険料控除
地震保険料控除の最高額は5万円です。
寄付金控除
寄付金控除といえば近年ではふるさと納税がかなり有名かと思いますが、これも寄付金控除の一種ですね。
個人が国や地方公共団体、特定の公益法人、独立行政法人などに対して寄付を行った場合、寄付金控除が適用されます。控除額は、特定寄付金の額と総所得金額等の合計額の40%のいずれか少ない金額から2,000円を差し引いた額となります。
(特定寄付金の額または総所得金額等の合計額×40%のいずれか低いほうの金額)-2,000円=寄付金控除額
つまり2,000円以下の寄付金は0円になるため控除の対象になりません。
人的控除
続いて人的控除についてです。
こちらの人的控除も7種類あります。
障害者控除
障害者控除は、納税者が障害者である場合、または障害者である控除対象配偶者や扶養親族がいる場合に適用されます。控除額は障害者1人につき27万円です。
寡婦控除・寡夫控除
寡婦(寡夫)控除は、納税者が寡婦または寡夫である場合に適用されます。控除額は27万円です。寡婦控除の詳細な要件は2級で学習しますので3級では興味のある方のみ確認していただけたらと思います。
勤労学生控除
勤労学生控除は、納税者が勤労学生である場合に適用されます。勤労学生の要件は、学校教育法に規定された学生や生徒(大学、専門学校、高校など)であり、合計所得金額が65万円以下、そのうち給与所得等以外の所得が一定額以下であることです。控除額は27万円です。
配偶者控除
配偶者控除は、以下の要件を全て満たす場合に適用されます
- 納税者と生計を一にする配偶者であること。(内縁関係は除く)
- 配偶者の合計所得金額が38万円以下であること。
- 配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受けていないこと、または青色専従者控除の対象でないこと。
控除額は以下の通りです:
- 控除対象配偶者:38万円
- 老人控除対象配偶者(70歳以上):48万円
配偶者特別控除
配偶者特別控除は、以下の要件を全て満たす場合に適用されます
- 納税者の合計所得金額が1000万円以下であること。
- 納税者と生計を一にする配偶者であり、内縁関係は除く。
- 配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満であること。
- 配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受けていないこと、または事業専従者控除の対象でないこと。
控除額は配偶者の合計所得金額に応じて最高38万円まで適用されます。
必ずしも一律で38万円ではないことに注意しましょう。
配偶者控除では一定額以下までのパートナーの所得によって控除がありましたが、特別控除の方は、一定額を超えた場合に受けられる控除ということになります。
扶養控除
扶養控除は、納税者に扶養親族がいる場合に適用されます。まず扶養親族の要件を以下で確認してみましょう
※その年の12月31日時点の現況で下3つの要件を満たしている必要あり
- 配偶者以外の6親等内の血族および3親等内の姻族、または都道府県知事から養育を委託された児童、市町村長から養護を委託された老人であること。
(配偶者は配偶者控除の方で扱われるため除外されます) - 納税者と生計を一にしていること。
- 合計所得金額が38万円以下であること。
扶養親族の控除額は以下の通りです:
- 一般扶養親族(16歳以上23歳未満、23歳以上70歳未満):38万円
- 特定扶養親族(16歳以上19歳未満、19歳以上23歳未満):38万円(一般的に高校生の年齢)、63万円(一般的に大学生の年齢)
- 老人扶養親族(70歳以上):同居48万円、その他同居でない場合58万円
16歳未満については扶養控除はありませんので注意が必要です。
基礎控除
基礎控除は、特に適用要件がなく、納税者であれば無条件で適用されます。控除額は38万円です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は結構ボリュームが多く感じたと思いますが、FP3級の試験ではあまり細かい内容は問われないと思いますので、物的控除の7種類と人的控除の7種類についてそれぞれこういうのがあるんだ、という程度を確実に押さえておけばまずはいいと思います。
なお、所得控除についてはその他にも、所得控除の順序や判定時期といった論点もあるのですが、3級の範囲ではありませんのでここでは取り扱いしませんので、所得控除の14種類についてしっかり覚えておきましょう!
コメント