みなさんこんにちは!
連載としてFP(ファイナンシャルプランナー)3級の資格試験に対応する内容を解説していきたいと思います。
FP試験の内容は日常生活にも深く関わってくる内容が多いので、資格取得を予定していない方でもQOLアップにつながる内容が多いと思いますのでぜひ参考にしてください!
私が独学でFP2級に1ヶ月で合格した経験をもとに、同じように独学でがんばっている方など少しでも多くの方の受験の手助けになれたら嬉しいです!
※試験範囲は変更・追加となる場合がありますので、常に最新情報のチェックをお願いします。
今回は健康保険についてです。
保険用語について
まず、保険に関しての用語を確認しましょう。
- 保険者:保険制度の運用主体→行政や民間会社等
- 被保険者:保険の対象となっている人→私達(健康保険の場合だと会社員本人)
- 被扶養者:被保険者の一定の扶養家族
余談ですが、自分も最初戸惑ったポイントですが、単に「健康保険」という場合は会社員等が入る健康保険のことを指し、国民健康保険とは別になりますので整理して覚えましょう。
以上をふまえて学習に入っていきます。
健康保険制度とは
まず、公的医療保険制度である健康保険制度について見てみましょう。
健康保険の目的ですが、健康保険法は、保険者が被保険者の業務外の理由による疾病、負傷、死亡、または出産に関して保険給付を行うことを目的としています。さらに、被保険者の被扶養者についても同様に保険給付を行います。
※業務上のケガ等については労災で補償されます。
健康保険のポイント
- 業務外の自由による疾病や負傷、死亡、出産をカバー
- 被保険者だけでなく、その被扶養者もカバー
- 業務上の疾病や負傷については労災保険が適用
被保険者について
被保険者は保険料を支払って保険に加入する人を指し、75歳未満の適用事業所に使用される人が対象です。75歳以上になると後期高齢者医療制度の適用となります。
被扶養者について
被扶養者は被保険者に扶養されている人で、保険事故が起きた場合に家族給付を受けることができます。対象者は以下の通りです
- 直系尊属(親など)
- 配偶者(内縁関係も含む)
- 子、孫
- 弟妹
要件
- 同一世帯要件:必ずしも同一世帯に住んでいる必要はないが、生計を一にしている必要がある
- 収入要件:年収が130万円未満、または60歳以上か、一定の障害者は年収180万円未満で、被保険者の年収の1/2未満であること
社会保険についての報酬と保険料
報酬と賞与
- 報酬:事業に使用される者が労働の対価として受ける賃金や給料を指します。平たく言うと「給料」ですね。
- 賞与:事業に使用される者が労働の対価として3ヶ月を超える期間ごとに受けるもの、いわゆる「ボーナス」ですね。
標準報酬月額と標準賞与額
- 標準報酬月額:被保険者の報酬に基づき、一定の計算方法で決定される月額の基準です。
- 標準賞与額:被保険者が受けた賞与額に基づき、一定の計算方法で決定される額です。
標準報酬月額と標準賞与額は健康保険における保険料の計算基礎となります。健康保険では、この両方を総報酬制の対象とし、保険料を計算します。
標準報酬月額の決定方法
- 資格取得時決定:被保険者が資格を取得した時点で決定。
- 定時決定:毎年7月1日現在で使用されている被保険者について、4月、5月、6月の3ヶ月間の報酬の平均に基づいて決定されます。
例:4月、5月、6月の平均報酬が27万5,000円の場合、標準報酬月額は28万円となり、該当する等級は21級となります。
保険料の計算
保険料は次の2つに分かれます。
- 介護保険第2号被保険者以外
- 計算式:標準報酬月額 × 保険料率 + 標準賞与額 × 保険料率
- 保険料率は都道府県別、組合健康保険の場合は組合ごとに異なります。
- 介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳未満)
- 上記の計算式に加えて、介護保険料が加算されます。
- 計算式:標準報酬月額 × 介護保険料率 + 標準賞与額 × 介護保険料率
保険料の負担
事業主と被保険者で折半:計算された保険料額は事業主と被保険者で折半されます。(労使折半)
保険給付について
これまで保険料について学びましたが、今度は受け取る側の「保険給付」について見ていきます。
保険給付には、被保険者本人に給付される「本人給付」と、被扶養者に給付される「家族給付」の二つがあります。
保険給付の種類
- 業務外の事由による疾病や負傷
- 本人給付:
- 療養の給付:現物給付(診察、手術、入院など)
- 傷病手当金
- 高額療養費
- 家族給付:
- 家族療養費:家族が医療機関で受ける診察や治療
- 本人給付:
- 出産
- 本人給付:
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 家族給付:
- 家族出産育児一時金
- 本人給付:
- 死亡
- 埋葬料
- 家族埋葬料
療養の給付、家族療養費
医療機関で被保険者および被扶養者が疾病や負傷に対して診察、手術、入院などの療養の給付を受けることができます。
現物給付の確認ポイント
- 美容整形や健康診断(人間ドッグ等):病気や怪我と認められないため、対象外
- 正常分娩:病気ではないため、対象外。ただし、異常分娩の場合は対象
負担割合
通常、医療機関の窓口で自己負担分を支払います。
- 70歳未満:3割負担
- 70歳以上75歳未満:2割負担(平成26年3月31日以前に70歳になった場合は1割)(現役並み所得者は3割)
- 未就学児(義務教育就学前):2割負担
高額療養費
長期入院や高度な治療を受けた場合、医療費が高額になった際に一部負担金が一定額を超えた場合に高額療養費が支給されます。
- 請求が必要:本人が請求しないと受け取れません
- 基準:70歳未満と70歳以上75歳未満で負担限度額が異なる
基準に関しては試験では表が与えられますので特に無理して覚える必要はないでしょう。
傷病手当金
被保険者が病気や怪我で働けず、給与を受けられない場合に支給される手当。
支給要件
- 労務に服することができないこと
- 報酬を受けられないこと
- 継続して3日以上休業したこと(4日目からもらえる)
支給期間と金額
- 支給期間:1年6ヶ月が限度
- 支給額:標準報酬日額の3分の2
※標準報酬日額は、直近12ヶ月間の標準報酬月額の平均を30日で割ったものです。
出産育児一時金、家族出産育児一時金
被保険者が出産した場合に支給される一時金。被扶養者が出産した場合には「家族出産育児一時金」として支給されます。
- 支給額:42万円(産科医療補償制度に加入する医療機関で出産した場合)
出産手当金
出産の日以前42日から出産の日後56日までの間において、働けなかった期間に支給される手当。
あくまで休んだ日の分だけということです。
支給額
- 標準報酬日額の3分の2が支給されます
※標準報酬日額は、直近12ヶ月間の標準報酬月額の平均を30日で割ったものです。
埋葬料、家族埋葬料
被保険者または被扶養者が死亡した場合、埋葬料または家族埋葬料として5万円が支給されます。
退職後の医療保険について
退職後の医療保険は、退職後の状況によって異なります。再就職する場合と再就職しない場合、それぞれで加入する保険が異なります。
再就職する場合
再就職先の健康保険に加入します。
再就職しない場合
再就職しない場合、3つの選択肢があります
- 任意継続被保険者として加入
- 国民健康保険に加入
- 配偶者の被扶養者として加入
これらについてひとつずつ確認してみましょう。
任意継続被保険者として加入する方法
任意継続被保険者について- 資格喪失後20日以内に申請:退職後、20日以内に手続きが必要
- 窓口負担:自己負担3割
- 保険料の負担:全額自己負担(在職中は折半だったが、退職後は全額負担)
- 加入期間:最長2年間
国民健康保険に加入する方法
- 資格喪失後14日以内に市町村に届け出
- 窓口負担:自己負担3割
- 保険料の負担:全額自己負担
- 医療機関:すべての保険医療機関が対象
配偶者の被扶養者として加入する方法
- 窓口負担:自己負担3割
- 保険料の負担:なし(配偶者が加入する保険でカバー)
注意点
- なんらかの手続きをしない場合でも、法律上自動的に国民健康保険に加入し、退職日の翌日から保険料の支払い義務が発生します。
70歳から75歳までの医療保険
- 窓口負担:2割(平成26年4月1日以降に70歳に達した場合)
- 例外:平成26年3月31日以前に70歳になった場合は1割
75歳に到達した場合
- 後期高齢者医療制度に加入
- 加入に伴い、それまでの国民健康保険や健康保険から脱退することになります。
制度の詳細はまた後ほどやっていきます。
任意継続被保険者について
任意継続被保険者とは
健康保険の適用事業所を退職し、被保険者の資格を喪失した場合に、従前の保険者の被保険者資格を個人的に継続することができる制度です。
要件
- 資格喪失する日の前日までに継続して2ヶ月以上被保険者であったこと
- 資格喪失から20日以内に申請すること
- 75歳未満であること
手続き
自宅住所地を管轄する全国健康保険協会の都道府県支部に申請します。
保険料
- 全額自己負担
- 任意継続被保険者として加入できる期間は最長2年間
にんい継続には2が多いと覚えておきましょう。
まとめ
少し長かったかもしれませんが、内容としては実際に自分が健康保険を使う立場になったことを考えると非常におもしろいところかと思います。
勉強にあたって重要なのは、自分の立場に置き換えて学習することです!
FPを勉強するモチベーションを常に高くしていきましょう!
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