みなさんこんにちは!
連載としてFP(ファイナンシャルプランナー)の資格試験に対応する内容を解説していきたいと思います。
FP試験の内容は日常生活にも深く関わってくる内容が多いので、資格取得を予定していない方でもQOLアップにつながる内容が多いと思いますのでぜひ参考にしてください!
私が独学でFP2級に1ヶ月で合格した経験をもとに、同じように独学でがんばっている方など少しでも多くの方の受験の手助けになれたら嬉しいです!
※試験範囲は変更・追加となる場合がありますので、常に最新情報のチェックをお願いします。
今回も所得税の分類で見てきた各所得税の内容を個別に見ていきましょう。
今回は事業所得です。
事業所得とは
それではさっそく事業所得について見て行きましょう!
事業の内容ということですが、どういうものかというと個人の行う各種事業で、農業・漁業・建設業・製造業などなどで、珍しいものだとプロスポーツ選手やサッカー選手なども含まれます。
これらのように何かしらの事業から発生する所得が事業所得です。
ただし事業用固定資産の売却による所得は事業所得とならず譲渡所得になります。
例えばお店を経営していてその仕事に必要な車があったとします。いわゆる社用車とかですね。
営業用の車を売却したことによって得た所得は、例えば魚屋さんだとしたら魚を売るっていう商売ですけれども、そのために必要な車であるということ、つまり本来の仕事のために使う道具(事業用固定資産)ということで、これは本来の事業からするとオマケのようなものなので事業所得とはならず、譲渡所得になるということに注意しましょう。
事業所得の計算方法
総収入金額-必要経費=事業所得
事業所得の金額の計算方法ですが、これは基本の公式通りですね。
総収入金額から必要経費を引いて計算します。
ここで必要経費の内容を深堀りしていきましょう。
必要経費について
その年分の不動産所得、事業所得、又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、これらの所得の総収入金額に関わる売上原価、その他その総収入金額を得るために直接に要した費用の額、及び、その年における販売費、一般管理費、その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とあります。
つまり、とある収入があり、その収入を得るために直接必要になった費用を必要経費というわけです。
裏を返すと、その費用がなければ、その収入は得られなかったということですね。
よく経費になるかならないか、みたいな話題があがると思いますが、そんなときにはこの大原則を思い出しましょう。
租税公課
その他には租税公課っていうのもあります。税金等の支払いですね。
ただし租税公課には必要経費になるものならないものがあります。
必要経費になるのは、例えば事業税であったり、登録免許税、不動産取得税等が主なものです。
租税公課の中で必要経費にはならないものとしては、所得税、住民税、相続税、利子税以外の附帯税等があり、租税公課には必要経費になるものと必要経費にならないもの両方あるということをここでは覚えておければいいと思います。
減価償却費
減価償却費とは、償却資産の種類ごとに選択した償却方法により計算した金額を必要経費に算入できます、というものです。
ここでのキーワードは償却方法には2つの方法があり、「定額法」と「定率法」というのがあります。
まずは定額法について確認します。
例えば、何か500万円くらいの資産、つまり、物があったとします。
償却期間が5年間だったとすると、5年間使えばどんどんその物の価値は下がっていくということはなんとなくイメージつきますか?
中古のものって骨董品でもなければ基本的には古いほど安いですよね?
最初500万円分あったとして5年で100万円ずつ等分に価値が下がっていくと計算して、1年ごとに100万円ずつ価値が下がっていくと5年で価値が0円になる、ということです。(厳密には0円には出来ずに最後は1円になります。)
これが定額法です。
次に定率法ですが、同じように500万の物があってそこから例えば1年目に10%の価値が下がり、2年目にその価値が減った残り、500万の10%なので残り450万に対してまた10%引く、これが定率法になります。
価値を減らす率を決めておくのが定率法、定額の方は額の方を均等に割って減らす額を決めておくのが定額法ということです。
次に償却方法の選択です。
償却方法の選択として、確認をしたいものが建物についてです。
建物で平成10年4月以降取得の場合、こちらは選択をせずとも自動的に定額法となります。
建物以外の有形償却資産は無届けだと定額法、届け出をすれば定率法も選択できます。
建物については平成10年3月以前の建物については定額定率選択できるということですが、あまり重要ではないでしょう。
次に少額減価償却資産となります。
こちら少額とありますが、少額ってどれぐらいかと言うと10万円がひとつの基準です。
10万円未満と、10万円以上20万円未満というふうに分けられます。
10万円未満のものは償却方法として取得した年に一括して必要経費に算入することができます。
そして10万円以上20万円未満、こちらに関しては均等償却によって3年にわたって必要経費に算入することができます。
なお上記の通常の減価償却と選択適用が出来ます。
これが少額減価償却資産です。
所得税法では減価償却は強制償却となり、限度額相当額を必要経費に算入しなければならないということですので、しっかり理解しましょう。
売上原価
続いては売上原価です。
売上原価というのは、例えば200円で何か商品を売りましたとします。
でも商品を仕入れるのに150円かかったとすると150円で商品を仕入れてきて200円で売れたということで50円儲けということになります。
ここの150円、これが売上原価です。
売上原価の計算方法ですが、販売業者などが必要経費を計算する場合は、販売商品の売上原価を計算します。
年初商品棚卸高+年中の商品純仕入高-年末商品棚卸高=売上原価
という式になります。
年初、年の初めにあった棚卸高 + 年の途中で商品を仕入たものを足し算して、そして年末商品棚卸高を引けば売上原価が求めるということになるんですが、この年末商品棚卸高ですが、年末商品棚卸高の評価方法、年末の棚卸高をどのように評価するかによって売上原価は増減します。
そこで税法では年末棚卸しの方法を原則として限定してます。
いろんな方法があるのですが、ここで大事なのは法定評価方法です。
評価の方法を届け出なかった場合や、届け出た評価の方法によらないで評価した場合には、 最終仕入原価法による原価法で評価しなければならない、という内容です。
この最終仕入原価法は年末に一番近いところの金額で評価ということを軽く確認しておきましょう。
交際費
続いては交際費です。
交際費とは事業を営む個人がその事業のために支出した交際費は全額必要経費となります。
その事業のために支出した、というところがポイントです。
単純ですが、現実では一番相談が多いポイントではないでしょうか(笑)
資格試験としての範囲的にはそこまで深く考える必要はないですね。
一定親族への対価
居住者と生計を一にする配偶者、その他の親族に居住者の営む不動産所得、事業所得、山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の理由によりその事業の対価から支払いをした場合、とあります。
何を言ってるかというとつまりお給料などですね。
居住者と生計を一にする配偶者その他親族に支払ったお給料、この支払った金額は必要経費に算入することはできないということです。
ただし支払いをうけた親族にその対価を得るための必要経費がある場合は、その金額を必要経費に算入することが認められています。
けれどもまぁ通常は親族への対価に関してお給料を支払った分は必要経費には参入できない、ということを押さえておいてもらえればよろしいでしょう。
その他の必要経費は3級範囲ではあまり重要ではないので2級を受験予定の方は調べてみてください!
青色申告
事業所得と切って切れない関係である青色申告制度、こちらについて確認をしていきます。
この青色申告をする人、青色申告しますと届け出してその承認を受けた人が青色申告できます。
青色申告はちょっと面倒なこともあるんですけれども税金面でちょっとオマケしてもらえたり優遇があります。
青色申告者でない人は白色申告者と言います。
青色申告の要件
では青色申告制度の要件から確認しておきます。
青色申告でいけるのが、不動産所得、事業所得、山林所得を生ずべき業務を行っていることであります。
ここでよく言われるのが、不動産の「ふ」、事業の「じ」、山林の「さん」ということで富士山なんて言われますね。
「富士山は青い(不 事 山は青い)」
と覚えましょう!
青色申告はあらかじめ税務署長の承認を受けていることが必要になります。
税法が定めている帳簿書類を7年保存が必要です。
7年間保存書類を備えて適正な記帳決算を行い、これによって申告をしていること、とあり、結構手間がかかりますけれどもそのぶん優遇されるということです。
青色申告承認申請書の提出ですけれども、その承認を受けようとする年の3月15日までに提出します。
確定申告なんかも聞いたことあると思いますが、日付は同じになります。
その年の1月16日以降に業務を開始した場合の提出期限は、業務を開始した日から2ヶ月以内というところも押さえておきましょう。
そして承認申請した年の12月31日までにその申請について通知がない場合、申請が承認されたものとみなされる、という自動承認の形をとっています。
青色申告取りやめる場合は、取りやめようとする年の翌年3月15日までに届出書を提出します、というふうにします。
青色申告の特典
続いては青色申告の特典ですね。
青色申告にはオマケがあるよということを上記でお伝えしましたが、どんな特典があるのかについて見ていきます。
・青色申告特別控除
まずオマケもらおうとするとその要件が決まっています。
1,事業的規模である不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を行う青色申告者であること。
2,正規の簿記の原則、借方貸方といったきちんとした複式簿記の方法によって記録をしていること。
3,貸借対照表、損益計算書、(PL)をともに添付していること。
4,期限内に申告をすること。
この要件をすべて満たせば青色特別控除として65万円の青色申告特別控除という必要経費以外に引いて貰えるっていう事なんですよね。
「65万円」この金額は覚えてくださいね。
※令和4年分からはこれに加えて、
1,その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記《参考》参照)を行っていること。
2,その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。
国税庁HPより
が必要となる点に注意が必要です。
要件を満たさない場合は55万円の控除になります。
そして純損失の繰越控除なんですが個人の青色申告書の繰越期間というのが3年間あります。
法人の場合青色欠損金と呼ばれる繰越控除期間は9年間あります。
これは要するに赤字になったら翌年以降の利益から相殺できますよ、という制度なのですが、今回はあっさりと言葉だけ確認しておきましょう。
また、純損失の繰り戻しという制度もあり、これは前年にもその金額の全部または一部を前年に繰り戻して前年度の所得金額から控除して前年度の所得金額を計算し直すことで、差額の還付を受けることができる、という制度ですね。
こちらも3級では制度の確認だけでよろしいでしょう。
次に青色事業専従者給与というものがあります。
青色申告者が青色事業専従者給与に関する届出書を提出し、その届出書に記載のある金額の範囲内で、青色申告者の事業に従事する生計を一にする配偶者や親族に給与の支払をした時、その給与は必要経費に算入することができますという控除です。
なお、給与は必要経費に算入できるんですけれども退職金は参入できません。
ちなみに、白色申告者の場合は事業専従者控除額というものもあります。
白色申告者の事業に従事する者に支払った給与は必要経費に算入できず、1年間のうち配偶者は最高86万円、親族は50万円の控除が認められているに過ぎないという制度で、こちらは必要経費に算入できないし金額も決まっている金額に制限があるんだというところも軽く確認しましょう。
まとめ
事業所得は試験内容としては比較的シンプルですが、実際の生活においては一番使う項目ではないでしょうか?
事業をしていない人はそこまで関係無いかもしれませんが、ファイナンシャルプランナーの資格を持っていると言うと周囲から相談される機会もあるでしょう。
そんなときにしっかりと答えられるようにきちんと押さえておきましょうね!
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